今日は駿河遠州スポーツダイバーズ協議会主催の「津波が起きた時にダイバーは?公開検証会」に参加してきました。
これは津波警報が発令されたことを仮定して、岸にたどり着くまでの時間を計測したり、実際に津波警報装置の音を聞いてその聞こえ方を体験したり、実際に避難場所まで走ってみたりした実技と、それを元にディスカッションしていろいろな意見交換をすることを目的に行われたものです。
昨年の東日本大地震の後、現地サービスやダイビングショップ、それらが加盟する静岡県ダイバーズ協議会などが避難経路を明示したり、その対策を検討したりしてきましたが、実際に津波が起きた時のデータが少ないため、データ収集の目的も含まれています。
参加したのはダイビングショップ・サービスのスタッフ、雑誌や新聞・ウェブの取材スタッフ、津波警報装置を開発したメーカーのスタッフなどです。
1本目は津波警報装置から警報音が聞こえてから水面到達と岸に着くまでの時間計測です。
私は水深10m班でしたが、水面まで2分弱(安全停止の時間を除く)、岸まで3分弱の時間がかかりました。
2本目は3種類の警報音の聞き比べです。
1つは津波のために開発されている警報装置です。
写真のように操作盤とスピーカーから構成されています。
操作盤とスピーカーは有線でつながれていますが、岸から離れたところにでも設置できるように無線でもつなぐことができます。
黄色いブイに受信装置とバッテリーが内蔵されています。
これらを実際に設置したのが下の写真です。
このブイの下約2mにスピーカーが設置されます。
2つ目の警報音は水中サイレン、3つ目はダイビンググループ内での会話を目的とした会話装置です。
これらを実際に水中で聞いてみました。
1つ目の津波警報装置はさすがにこれを目的に作られているだけあって比較的はっきりと聞こえます。フードをしていても警報音は聞き取れました。
ちなみにこの警報音はこんな感じです。
音はカメラのハウジングを通して録音されていますので、こもった音になっています。実際にはもっと明瞭に聞こえましたよ。
ちなみにこの音は200m程離れていたスタッフにも聞こえたそうです。(言葉は何と言っているのかわからなかったそうです。)
2つ目のサイレンはフードをしていなければ聞き取れる程度で、しかも注意していないと聞き逃しそうでした。
3つ目の会話装置は殆ど役に立たないといった具合。
サイレンと会話装置は比較的近距離で使用するのを想定していますからある程度納得のいく結果でした。
ちなみに開発中の音が聞こえやすいフードというのも使わせてもらいました。写真のオレンジ色のフードで耳の部分に工夫がされています。
この検証が終わったら次は実際に避難してみました。
岸から100m程離れたところからスタートして、エキジットしてから器材を外して約500m程離れた避難所まで実際に走ってみました。
かかった時間は4分弱。ウェットスーツを着たまま緩やかな上り坂を登っていきますから避難所に着いた時には息が上がりきってしまいました。
一番早かった人で3分強、遅かった人で7分くらい。差が出てしまいました。
このようなデータを元に午後はフリーディスカッションです。
各班から検証結果を報告してそれらを元に色々と話し合いました。
今日の検証会は結論を出すのが目的ではなく、データを元に意見を出しあうのが目的ですからいろいろな意見を聞くことができ、普段潜る雲見に当てはめて考えたりしてととても勉強になりました。
その後に津波の日に実際に南三陸町にいたダイビングフタッフさんの体験談も聞くことができました。
(元南三陸町のダイビングショップ「グラントスカルピン」のフタッフで、今は埼玉県所沢市でダイビングショップを開いた金子さんです。)
地震が発生してから避難して実際に津波をその目で見てから、その後の避難所の生活まで。
体験した方から直接聞く話は今まで聞くことができなかった細かなニュアンスまで伝わってきて改めて津波の怖さを知るとともにとても勉強になることでした。
陸上にいた場合は津波警報が発令されたら避難場所にいちはやく逃げることは当たり前ですが、水中で潜っているときはどうするべきか答えは出ていません。
でもこのような検証会や勉強会はまた行われますので、できるだけ参加していろいろな知識を吸収して、より安全な方法を見つけていきたいと思います。
今回の検証会に参加された皆さん、ありがとうございました。また宜しくお願いします。
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